『蜀紅錦』第40話では、白晟と玉玲瓏の最期、そして楊静瀾と牛瑾の決着が一気に描かれます。長く続いた南詔と益州の争いも、ここでようやく決着です。
季英英も益州へ戻り、これまで蜀錦を守ってきた功績を認められて「先蚕夫人」という称号を与えられます。
この記事では『蜀紅錦』第40話の最終回のあらすじをネタバレありで紹介。感想に加えて、牛瑾が最後まで何を求めていたのか、そして先蚕夫人と唐代の先蚕祭祀の違いについてもわかりやすく紹介します。
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蜀紅錦(しょっこうきん)最終回直前までの出来事
第39話では、南詔錦の完成を求められていた季英英が、妨害者を見つけるために偽物の南詔錦を用意します。杜彦は季英英たちが偽物を作っていると告発しますが、季英英は別に完成させていた本物の南詔錦を見せ、最初の品は囮だったことを明らかにしました。
季英英は約束どおり益州の職人たちを帰すよう求め、趙修縁が自分だけ南詔へ残ると申し出たことで、職人たちの帰郷が認められます。
同じころ益州では、牛瑾に殺された諸葛鴻の遺体を楊静瀾が取り戻しました。楊静瀾は諸葛鴻が残した牛瑾についての情報を手に入れ、牛瑾を追い詰める手掛かりを得ます。こうして最終回では、季英英の帰郷と牛瑾の討伐という二つの問題が残されていました。
『蜀紅錦』最終回のあらすじ
晟豊沢は寧黛の嘘を見抜き季英英のもとへ戻る
晟豊沢は季英英を人里離れた屋敷へ連れて行きます。そこへ寧黛が現れ、晟豊佑が呼んでいると伝えました。
ところが移動を始めた直後、別の護衛が本当に晟豊佑から召し出しがあったと知らせます。晟豊沢は寧黛が自分をだましていたと気づきました。
寧黛は、季英英への嫉妬だけでなく、晟豊沢が彼女にのめり込んでいくことを心配していたと告白します。それでも晟豊沢は引き返すことを選びました。
晟豊沢が季英英を守り命を落とす
屋敷には杜彦が送り込んだ黒装束の刺客たちが現れていました。杜彦は季英英を殺す理由について、自分が辱められたことに加え、晟豊沢が彼女に深くのめり込むことを警戒していたと語ります。
季英英は水がめの中に隠れますが、刺客に見つかってしまいました。そこへ晟豊沢が戻り、季英英を屋内へ逃がしたうえで、自分一人で刺客たちに立ち向かいます。
晟豊沢は多数の刺客との戦いで致命傷を負い、胸にも短剣を受けました。季英英が彼を抱き起こすと、遅れて到着した寧黛も残った刺客を倒します。
晟豊沢は寧黛に、最後の頼みとして季英英を無事に家まで送り届けてほしいと告げ、そのまま命を落としました。季英英は屋敷で晟豊沢を弔ってから益州へ向かいます。
季耀庭が蜀錦に火を放ち楊静瀾へ居場所を知らせる
益州では季耀庭が、牛瑾の誕生日に着る錦の衣を届けようとしていました。玉玲瓏も仕立て直しを理由に同行し、二人は目隠しをされた状態で牛瑾のもとへ連れて行かれます。
牛瑾は楊静瀾が来ることまで知っていました。季耀庭は自分たちの計画が読まれていると気づきます。
そこで季耀庭は、牛瑾が何より好む蜀錦を利用することを決めました。周囲の蜀錦に火を放ち、「楊静瀾、早く来い! 牛瑾はここだ!」と叫びます。
火を見つけた楊静瀾は牛瑾の居場所を知り、すぐに駆けつけました。
玉玲瓏が季耀庭に思いを伝えて死亡する
楊静瀾は牛瑾に対し、その罪は法に照らせば斬首に値すると告げます。しかし牛瑾は、自分は益州の節帥なので楊静瀾に裁かれる立場ではないと主張し、兵士たちに全員を殺すよう命令しました。
楊静瀾と玉玲瓏は牛瑾の兵士たちと戦います。その途中で玉玲瓏は深手を負い、季耀庭の腕の中へ倒れました。
玉玲瓏は本来なら吉日を選び、季耀庭と夫婦になるつもりだったと明かします。そして毎年花の季節になったら、木を植えた山へ来てほしいと頼み、季耀庭に看取られながら亡くなりました。
楊静瀾が牛瑾を討ち季英英は先蚕夫人になる
戦いの最後には楊静瀾が牛瑾を討ち果たし、諸葛鴻を殺害した牛瑾との対決に決着がつきました。
その後、季英英も仲間たちと益州へ戻ります。季英英と楊静瀾は婚礼の準備を始めていました。
そこへ太子が勅旨を携えて現れます。季英英はこれまでの功績を認められて「先蚕夫人」に封じられ、さらに皇帝への拝謁を命じられました。
主要人物の結末
- 季英英: 晟豊沢が命を懸けて守ったことで刺客から生き延びました。その後は益州へ帰還して楊静瀾との婚礼を準備し、功績によって「先蚕夫人」の称号を与えられます。
- 楊静瀾: 牛瑾のもとへ乗り込み最後には牛瑾を討ち果たしました。季英英の帰還後は彼女との婚礼をあげました。
- 晟豊沢(白晟): 季英英を狙う刺客のもとへ戻り、一人で彼女を守りました。胸に短剣を受けるほどの致命傷を負って季英英に抱かれながら死亡しました。
- 趙修縁:南詔錦が完成したあとも南詔に残りました。その申し出によって、季英英をはじめとする益州の職人たちは帰郷を認められました。
- 牛瑾: 益州の節帥という立場を盾に楊静瀾へ抵抗。兵士たちに殺害を命じました。最後には楊静瀾に討たれます。
- 玉玲瓏: 牛瑾との戦いで深手を負いました。季耀庭と夫婦になるつもりだったことを明かして毎年花の季節に山へ来てほしいと頼んで死亡します。
- 季耀庭: 牛瑾の居場所を知らせるため蜀錦に火を放し、楊静瀾を呼び寄せました。玉玲瓏の最期を看取ります。
『蜀紅錦』はハッピーエンド?
『蜀紅錦』の最終回は、季英英と楊静瀾についてはハッピーエンドといえますね。でも作品全体を見ると、悲しさも残る結末でした。
季英英は南詔から益州へ帰ることができて、楊静瀾も牛瑾との戦いを生き延びます。二人はようやく婚礼の準備を始め、季英英も蜀錦への功績を認められて「先蚕夫人」の称号を与えられました。ここまで何度も引き離されてきた二人なので、最後に一緒になれたのは素直に嬉しいと思います。
でも、周囲の犠牲が多すぎます。
諸葛鴻は牛瑾に殺され、晟豊沢は季英英を刺客から守って死亡。玉玲瓏も牛瑾の兵との戦いで深手を負い、季耀庭と夫婦になる願いを叶えられないまま亡くなりました。趙修縁も季英英たちを益州へ帰す代わりに、自分だけ南詔へ残ります。
とくに玉玲瓏の最期はつらいですね。ようやく季耀庭と気持ちが通じあって、これから夫婦になれると思ったところで亡くなってしまいます。その直後には季英英と楊静瀾の婚礼準備が描かれるので「みんな幸せになってよかった」とはとても言えません。
晟豊沢もそうです。季英英を巡って楊静瀾とは敵対する立場でしたが、最後は季英英を守って命を落としました。
だから主人公二人が結ばれても、失われたものもかなりでています。
ということで、『蜀紅錦』は主人公カップルだけを見ればハッピーエンド。ですが、ちょっと悲しい部分もある。そんな終り方ですね。
最終回の注目点
晟豊沢はなぜ最後に季英英を助けたのか?
晟豊沢は最終回直前まで季英英への執着を強め、完成した南詔錦を破り、織工営を焼いても構わないとまで口にしていました。それでも最終回では、季英英が刺客に襲われていると知ると寧黛の制止を聞かずに戻っています。
晟豊沢は季英英を屋内へ避難させ、自分が一人で刺客たちと戦いました。最後にも自分を助けてほしいとは頼まず、寧黛へ季英英を家まで送り届けるよう求めています。
季英英への感情が最後まで執着だったのか、それとも彼女を生かすことを優先する気持ちへ変わったのか、劇中で詳しい説明はありません。ただし最後の行動だけを見ると、晟豊沢は自分の命より季英英の生存を選んだことになります。
牛瑾はなぜ自分が裁かれないと思っていたのか?
牛瑾は楊静瀾から罪を告げられても、自分は益州の節度使であり、楊静瀾ごときに裁かれる人間ではないと言い放ちました。
楊静瀾は朝廷の命令を受けて動いていますが。それでも節度使には手を出せないのでしょうか?
唐末期の節度使は地方で独自の兵力と経済力をもつかなり権限の強い役職でした。そのため有力な節度使には朝廷もうかつに手を出せません。でも牛瑾は朝廷から任命されたわけでもなく。勝手に奪った自称節度使です。
いってみれば反乱者も同然で、朝廷が決断すれば牛瑾を葬り去ることは可能です。あとはそれだけの実行力があるかどうかですが。そこは犠牲をだしつつ楊静瀾たちがうまくやったということでしょう。
先蚕夫人は実在する?
季英英が最後に皇帝から「先蚕夫人」の称号を与えられました。「先蚕」は存在しますが、「先蚕夫人」という称号は実際にはありません。架空の称号です。
先蚕は養蚕を始めた神様で、唐の時代にも先蚕を祀る儀式がありました。『通典』では顕慶元年(656年)の武皇后、先天2年(713年)の王皇后、乾元2年(759年)の張皇后が先蚕の祭祀を行ったことも記録されています。
養蚕や絹織物は国家が祭祀を行うほど重要な産業だったことがわかります。
ドラマが季英英に与えられた称号に「先蚕」を使ったのは蜀錦を守って養蚕や染色、織物に関わってきた彼女を立派な人物として演出するためでしょう。
寧黛はなぜ晟豊沢をだましたのか?
寧黛自身が理由を語っています。季英英への嫉妬もありましたが、それ以上に晟豊沢が季英英という一人の女性にのめり込み、以前とは違う行動を取るようになることを心配していました。
第39話で晟豊沢は完成した南詔錦を自ら破り、織工営を焼いても構わないと発言しています。寧黛が心配したのは、季英英への執着のために晟豊沢が自分自身の立場や目的まで損なっていくことだったのでしょう。
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