中国ドラマ「大奉打更人(だいほうだこうにん)-正義の銅鑼と王朝の闇-」は、現代の会社員・楊凌が架空の王朝「大奉」に転生して許七安になり、様々な事件を解決するドラマ。
最初は「現代人が昔の世界で知識を使って事件を解決する話なのかな」と思いました。ところが武術や呪術まであり。武術ものやファンタジー要素がかなり強い。許七安が調べる事件は、大奉王朝の過去や皇室にもつながり外国勢力との争いになり急にスケールアップ。設定詰め込みすぎだろと思うことも。
この記事では「大奉打更人」の主要人物や組織、大奉の世界を紹介しながら、全40話のあらすじをネタバレありで紹介します。
大奉打更人はどんな話?
現代で会社員をしていた楊凌は、気がつくと大奉という王朝の牢獄にいました。しかも自分は許七安という男になっています。
大奉ってどこ?許七安って誰?
本人も状況がよくわからないうちに、さらに困った事実が判明します。叔父の許平志が輸送していた税銀を紛失し、その責任で許家全員が処罰されるところだったのです。
そこで許七安は現代で身につけた知識と推理力を使って税銀の行方を調べます。そして事件を解決して許家を救うことに成功。この能力に目をつけたのが、大奉で治安維持や事件捜査に関わる打更人を率いる魏淵でした。
許七安は打更人に入り、銅鑼としてさまざまな事件を調べるようになります。
このあたりまでは、よくある事件捜査ものらしい内容です。ところが許七安が関わる事件が増えると、皇帝や皇族、術士が集まる司天監、儒学者たちの雲鹿書院まで登場。武夫、術士、儒家などはそれぞれ独自の修行をしています。この世界はファンタジーなんですね。
さらに許七安自身にも、本人が知らない過去があります。なぜ普通の人間にはない力を持っているのか。どうして監正や魏淵たちほどの人物が許七安に注目するのか。
事件を解決していくうちに許七安自身の秘密まで大奉王朝で起きている問題につながって来るのです。
推理ドラマとして始まったと思ったら、武侠や仙侠、宮廷での争い、修行、恋愛、コメディまで入ってます。
欲張りますね、このドラマ。
それでも許七安が事件を調べ、その先に何があるのか確かめていく作業は最後まで続きます。困るのは人物と組織がどんどん増えていくこと。「この人、誰?」「どの組織?」となりやすいので、主要人物と所属だけでも確認しておくとよさそうです。
大奉打更人の主な登場人物
許七安(きょ・しちあん)
演:ワン・ホーディー(王鶴棣)
現代の会社員・楊凌が大奉に転生した人物。字は寧宴。
もともとは長楽県の役人、税銀事件を解決したために魏淵に能力を認められて打更人の銅鑼になります。
現代の知識や推理力を使って事件を調べ武夫としても成長していきます。
それだけなら推理力があって戦える主人公で終わるのですが、許七安には本人も知らない秘密があります。なぜ妙に運がいいのか。どうして監正や魏淵ほどの人物が早くから注目しているのか。後半になるとこの疑問がかなり重要になってきます。
許平志(きょ・へいし)
演:ユエ・ヤン(岳暘)
許七安の二叔。父の弟です。御刀衛の百戸、武夫です。
物語の最初に起きる税銀盗難事件では責任を問われ、許家全員が処罰されそうになります。許七安が最初に事件を解決しなければならなかったのも、叔父たちを救うためでした。
許平志は許七安を実の息子のように育ててきた人物です。現代から来た楊凌にすれば突然できた家族ですが、それでも一緒に暮らすうちに許七安も許家の人々を本当の家族として守ろうとするようになります。
許新年(きょ・しんねん)
演:イエン・ズードン(晏紫東)
許平志の息子。許七安の従弟。字は辞旧。雲鹿書院で学ぶ読書人で、科挙にも合格しています。
許七安が武夫として事件現場を走りまわるのに対し、許新年が使うのは儒家の知識や文章です。しかもかなり口が悪い。
許七安ともよく言い合いますが、家族への思いは強く、必要なときにはきちんと力を貸します。
許玲月(きょ・れいげつ)
演:チャン・ミャオイー(張淼怡)
許平志の長女。許新年の妹。許七安を兄として慕っています。
許家の中では比較的おとなしい人物です。
魏淵(ぎ・えん)
演:リウ・イージュン(劉奕君)
打更人を率いる最高責任者。「魏公」と呼ばれる大物で、かつては高位の武夫でした。
許七安の能力に目をつけて打更人へ迎えます。その後も許七安にさまざまな仕事を任せて政治や宮廷が関係する事件にも関わらせていきます。
許七安にとっては上司であると同時に、許七安がどの道を選ぶのかにも大きく関わってくる人物です。
李玉春(り・ぎょくしゅん)
演:カン・カン(康亢)
打更人・春風堂の銀鑼。許七安の直属の上司。
規則に厳しく真面目な性格。自由に行動しがちな許七安とはかなり性格が違いますが、事件を解決する能力はきちんと認めています。
宋廷風(そう・ていふう)
演:イエン・ペイルン(閆佩倫)
春風堂の銅鑼。許七安。
朱広孝と一緒に行動することが多く、打更人になった許七安の仲間になります。
朱広孝(しゅ・こうこう)
演:ワン・ルンザー(王潤澤)
宋廷風と同じ春風堂の銅鑼。許七安、宋廷風と三人で事件捜査に出ることが多いです。
臨安(りんあん)
演:ティエン・シーウェイ(田曦薇)
元景帝の次女。太子の妹。
明るく感情を表に出す皇女で、許七安とも早い段階から関わります。許七安とのやり取りには恋愛やコメディの要素が多く、姉の懐慶とは性格もかなり違います。
何かと懐慶に張り合うところもあり、皇女ですが堅苦しい人物ではありません。
懐慶(かいけい)
演:マオ・シャオフイ(毛曉慧)
元景帝の長女で長公主。
冷静で頭が切れ、政治や事件にも関心を持っています。許七安の能力にも早くから注目していて彼が打更人になることにも関わりました。
臨安とはよく張り合っていますが、もちろん姉妹なので気にかけてもいます。
元景帝(げんけいてい)
演:リウ・ジュン(劉鈞)
大奉の皇帝。懐慶と臨安の父。
長寿を求めて修行を続けています。やがて許七安は皇帝や皇室が関係する問題にも関わることになります。
監正(かんせい)
演:チウ・シンジー(邱心志)
術士が集まる司天監の最高責任者。一品天命師という非常に高い境地にいる人物です。
監正はかなり早い時期から許七安を気にかけています。
なぜ?
最初は理由がわかりません。ところが話が進むと監正が許七安を気にする理由も許七安自身の秘密とつながってきます。
大奉打更人 全40話あらすじ・ネタバレ一覧
1~6話:大奉に転生した許七安と周立との対決
1話 大奉の世界へ
2話 捕吏と打更人
3話 意外な才能
4話 許七安を救え
5話 等価交換
6話 巧妙な罠
7~13話:打更人への加入と天諦会
打更人になっただけでも忙しいのに、今度は正体を隠して天諦会にも参加。許七安は打更人の仕事と並行して天諦会の秘密まで探ることになります。
7話 適性試験
8話 初めての任務
9話 山での戦い
10話 偽りの長公主
11話 天諦会
12話 決死の逃亡劇
13話 金鑼の勝負
14~23話:桑泊湖爆破事件と平陽郡主の悲劇
その直前、上役の朱成鋳を斬って極刑を言い渡されていた許七安は事件を半月以内に解決することを条件に釈放されました。
臨安も亡き平陽郡主のために朝堂へ乗り込み事件に関わった者たちの罪を訴えました。そして周赤雄を捕らえたて桑泊湖爆破事件は決着がつきます。
14話 桑泊湖の神剣
15話 首領の決定
16話 迫る処刑の日
17話 湖底に潜む謎
18話 新たな糸口
19話 郡主の行方
20話 魔物の正体
21話 逃避行の悲劇
22話 公主の血書
23話 爆破事件の落着
24~29話:許七安の死と神殊、北方で起きた異変
主人公、死んだ?
と思ったら、葬儀の最中に蘇生。その体内には過去の記憶を失った「神殊」という謎の存在が宿っていました。
許七安は魏淵から過去の戦いについて聞こうとしますが、神殊の正体まではわかりません。その頃、北方では「血屠三千里」と呼ばれる大事件が起きていました。
許七安は自分の周囲で起きてきた事件との関係を疑い始めます。
24話 死の淵の幻影
25話 謎の黒衣の男
26話 血屠三千里
27話 想い人はご令嬢
28話 恋路と政争
29話 2号と4号
30~32話:天域の法相と許七安に隠された秘密
天域が求めているのは、許七安の体内にいる神殊。引き渡さなければ大奉との戦いも辞さないと迫りますが、監正は要求を拒絶します。
なぜ許七安?
度苦が作った特殊な陣の中で、許七安は幻影を見せられて身動きさえできなくなります。それでも度苦の問いを切り抜け、最後には法相を一太刀で斬ることに成功しました。
30話 巨大法相の降臨
31話 決闘当日
32話 選ばれし者
33~36話:楚州「血屠三千里」事件の真相
さらに魏淵から宮中から盗まれた秘宝が自分の体内にあると知らされました。
そんな許七安に命じられたのが、楚州で起きた「血屠三千里」事件の調査です。
33話 秘宝の在り処
34話 狙われた王妃
35話 楚州の地の黒幕
36話 38万の怨魂
37~40話:楚州事件の審議と許七安の決断
鄭興懐や朝臣たちは鎮北王の断罪を求めます。ところが皇帝は弟の罪を認めようとしません。さらに曹国公らは魁族が虐殺したと主張し、鎮北王を英雄として扱おうとします。
そこまでやるのか。
ここで許七安は官僚として命令に従い続ける道を捨てます。群衆の前で闕永修と曹国公の罪を明らかにし、鄭興懐の名誉を取り戻した許七安は打更人を辞職。
37話 断罪要求
38話 誣告
39話 幕引き
40話 最後の謎
打更人とは?銅鑼・銀鑼・金鑼の違い
許七安が所属する打更人は、大奉の治安維持や事件捜査、官僚の監察を行う組織です。打更人は、大奉で事件捜査や官僚の監察を行う組織です。皇族や高官が関係する事件まで扱うので、普通の役人よりかなり広い権限があります。
階級は
- 銅鑼
- 銀鑼
- 金鑼
の順に上がり、魏淵が全体を率いています。許七安は一番下の銅鑼から始めます。
金鑼には楊硯や南宮倩柔がいて、許七安の直属の上司になる李玉春は銀鑼です。銀鑼は銅鑼たちを率いて捜査を指揮します。宋廷風と朱広孝は許七安と同じ銅鑼。三人で事件現場へ向かい、李玉春の指示を受けながら捜査する場面も多くなります。
許七安は打更人になったことで捕吏だったころには手を出せなかった事件まで調べるようになります。桑泊事件のように皇族や朝廷が関係する事件もあり、高官が相手だからといって簡単に引き下がるわけにもいきません。
大奉の世界観・勢力
『大奉打更人』には皇帝や官僚だけでなく、武夫、術士、儒家、道門、天域などが登場します。
許七安は打更人に所属する武夫。司天監には術士、雲鹿書院には儒家の修行者がいます。さらに天諦会のように大奉の外まで人脈を持つ集まりもあるため、話が進むほど関係する人物が増えていきます。
全部覚えろと言われても無理です。
そこで、まずは許七安の周辺にある大きな勢力だけ見ておきましょう。
大奉王朝
大奉は許七安が転生した架空の王朝です。元景帝が皇帝として君臨し、その子供には臨安や懐慶たちがいます。朝廷には多くの官僚がいて魏淵が率いる打更人も皇帝のもとで活動しています。
大奉には武術を鍛える武夫、術を使う術士、儒学を修める儒家などが存在します。許七安は武夫として力を高めていきますが、事件捜査では司天監の術士や雲鹿書院の儒者にも助けられます。
司天監
司天監は術士の集団。
トップは監正。褚采薇や宋卿も所属しています。
医術や風水、錬金術、陣法などを扱い、普通の役所では対処できない事件にも関わります。許七安が事件を調べるときには司天監の知識や術が必要になることもあります。
雲鹿書院
雲鹿書院は儒家の学問を学び、修行を行う場所です。院長の趙守をはじめ、書院にいる大儒たちは普通の官僚には使えない力を持っています。儒教をモデルにした勢力。
天諦会
天諦会は地書を使って連絡を取り合う集まりで、参加者は名前ではなく番号で呼ばれます。李妙真や楚元縝など、許七安と関わる人物も参加しています。
参加者全員が同じ組織の仲間というわけではなく、それぞれ別の地位を持っています。李妙真は道門、楚元縝は儒家と関係があります。許七安も彼らとの交流を通して、大奉の外で何が起きているのか知るようになります。
道門
道門には天宗、地宗、人宗があります。李妙真は天宗、金蓮道長は地宗に関係しています。道教をモデルにした勢力。
天域
天域は西方にある勢力で沙弥、武僧、法師、禅師などが登場します。仏教をもとにした勢力です。恒遠も天域に属する人物です。
原作小説とドラマ版の違い
『大奉打更人』は売報小郎君が書いた同名ウェブ小説が原作です。
約380万字に及ぶ長編。
長い。
ドラマ全40話ですべて描けるはずもなく、映像化されたのは原作の一部です。ドラマは楚州事件まで進み、最終回では許七安と許平峰の関係まで明かしますが、原作ではその後も許七安の物語が長く続きます。
魏淵に関する出来事など原作ではもっと後になる内容をドラマが先に使った部分もあります。
現代にいた主人公の設定も変更されました。
原作の許七安は前世で警察学校を卒業し、実際に警察官として働いたあと辞職して商売をしていました。そのため、もともと事件捜査の知識を持っています。
ドラマでは不動産会社で働く楊凌となり警察官を目指した経験と推理好きという設定に変更。体験型推理ゲームをしている最中に大奉へ転生します。
許七安があれほど捜査に詳しい理由は、原作のほうが分かりやすいです。ドラマでは現代人の知識と推理好きという部分を膨らませているようです。
臨安の出番は増えました。
原作の許七安には複数の女性との関係がありますが、ドラマでは臨安を中心に恋愛を描き、原作で懐慶などが関わった場面の一部も臨安に差し替えています。
名称にもいくつか変更があります。
原作の「仏門」「西域仏国」はドラマでは「天域国」、「天地会」は「天諦会」、「妖族」の一部は「魁族」になりました。
中でも気になるのが、仏門から天域への変更です。なぜ仏教だとダメなんでしょうか?制作側は変更理由を公表していませんが、中国の映像作品では、宗教を戯画化したり、教義や宗教名称を不適切に扱ったりする内容が審査対象になります。
『大奉打更人』の仏門は修行者が仏のような存在を呼び出したりそれと戦ったりするファンタジーです。そこで実在する仏教の名称をそのまま使うより「天域」という架空の勢力に変更した可能性はありそうです。
まあ、儒家が術を使い、仏教系の修行者が巨大な法相で戦う世界です。
この何でもありなところについていけるかどうかが、このドラマを楽しめるかどうかになりそうです。

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