蜀紅錦 28話・29話・30話では、季英英が庶民に蜀錦を持たせないという古い考えに反発。楊家の親族だけが利益を得る決まりまで変えようとします。ところが牛五娘の策略で楊家の錦が長安で売れ残り、季英英は新たな売り先を求めて白晟と吐蕃へ向かうことになるのでした。
蜀紅錦 28~30話の内容
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白晟が南詔の白王だと判明し、季英英は庶民への蜀錦販売を禁じる古い考えに反発します。
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季英英と楊静瀾が楊家の古い決まりを変えますが、牛五娘の策で楊家の錦が長安で大量に売れ残ります。
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季英英は売れ残った錦を売るため白晟たちと吐蕃を目指し、奪命谷で山賊に襲われ盛大郎を失います。
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蜀紅錦 28話 古い掟
28話のストーリー
白晟の正体が判明
楊静瀾は調査を進め、白晟が南詔の白王だと確認します。さらに牛瑾と組んで献上品の蜀紅錦を奪った疑いがあるため、皇太子へ文と証拠を送りました。ただし確実な証拠はまだ足りず、楊静瀾は白晟への接近を続けます。
季英英が異人街で商売
季英英は錦の端切れを小物にして売ろうとしますが、楊聚礼らは庶民に蜀錦を持たせるべきではないと反対。そこで白晟の提案を受け、飛花会の仲間と異人街で販売します。
錦繍を守り古い決まりに反発
帰宅した季英英は楊聚礼から棒で罰を受けている錦繍を助けました。飛花会の商売は楊家とは関係ないと反論して錦繍を連れて実家へ帰ります。季英英は今回の件から端切れ商売だけでなく錦業界に残る昔からの決まりそのものを改めようと仲間たちに相談するのでした。
感想
楊聚礼たちは「庶民に蜀錦を持たせるな」と言ってましたけど、季英英が反発したくなるのも当然です。商品として売れる物をわざわざ捨てるより、小物に加工して売った方が利益になりますよね。
さらに腹が立つのが錦繍への処罰です。季英英に直接言えばよいのに、立場の弱い侍女を棒で叩いて処罰する必要はあったのでしょうか。
楊聚礼が「庶民に蜀錦を持たせるな」と反対したのはなぜ?
季英英は蜀錦の端切れを使って小物を制作して売ろうとしました。捨てる所を減らしてさらに利益を得るのは商人としてはあって当然の発想でしょう。でも楊聚礼は反対しました。庶民に蜀錦に持たせるなというのです。でもこれは法律的な根拠があるわけではありません。
確かに唐の時代には庶民が高級な絹織物を衣服に使うことを制限する規定ありました。『新唐書』車服志では庶民が綾・羅・縠などを着ることを禁止しています。玄宗の開元初年には『旧唐書』に士人や庶民へ「錦繡珠翠之服」を禁止した記録もあります。
でもこれは贅沢になりすぎたので贅沢を戒めるための禁止令だったり、民も豪華な素材の服を着るので身分の上下が分かりづらくなった。だから身分に相応しい服にすべきだという発想です。でも規制ができても、なかなか守られなかったようです。
楊聚礼の反対も、法的な根拠があるわけではなく。蜀錦を一部の裕福な人が使う高級品にしてブランドイメージを保ちたいという楊家側の都合です。
季英英はそこに反対して端切れを小物にして売って、これまで蜀錦を買えなかった人にも客層を広げようとしたのでしょう。
蜀紅錦 29話
29話のストーリー
楊家の掟を変える季英英
季英英は楊夫人に血縁や年齢だけで利益を得られる楊家の決まりが親族の甘えを生んでいると話します。楊静瀾も皇太子への蜀錦を持ち出して年長者を説得。新しい決まりを季家と飛花会で試すことになりました。
牛五娘が長安で楊家を陥れる
趙修縁は牛五娘の人脈を利用して貴人と踊り子に同じ錦の衣を着せます。楊家の錦は長安で評判を落として大量の商品が売れ残りました。
季英英に責任を負わせる楊聚礼
楊聚礼は季英英を跪かせて在庫が増えた責任を問い始めます。楊静瀾は親族を甘やかしてきた楊家の掟こそ問題だと反論。当主も責任追及より解決策を求めました。季英英は残った錦を売るため、これまでとは違う商売先を探し始めるのでした。
牛五娘はなぜ貴人と踊り子に同じ楊家の錦を着せた?
楊家の錦の品質は悪くありません。むしろ品質は高いです。そこで牛五娘たちはイメージを下げることにしました。
長安の貴人たちは高価な錦を身につけることで自分たちの財力や社会的な立場を表していました。ところが牛五娘は貴人たちが着ているのと同じ楊家の錦を踊り子にも着させます。
中国王朝では踊り子の地位は低いですから、貴人から見れば「自分たちが特別な品だと思って着ていた楊家の錦は踊り子が着るような物なのか」ということになります。牛五娘はそこを利用して、楊家の錦を「高い身分の女性が選ぶ高級品」から「踊り子も使う低俗な品」にイメージを変えようとしたのです。身分社会のある世界ならよけいにこの作戦は効果あります。
つまり狙ったのは楊家のブランドを落とすことなんですね。人はイメージで物を買うのがよくわかります。
蜀紅錦 30話
30話のストーリー
白晟と吐蕃へ向かう季英英
売れ残った楊家の錦を売るため、季英英は吐蕃へ商路を開こうと決意します。玉玲瓏は父が奪命谷で亡くなったことから反対しますが、白晟が地図を提供して同行を申し出ました。季英英は白晟を警戒しつつ旅立ちます。
飛花会の仲間が同行
陳三郎のもとでは季耀庭、盛大郎、桑十四がすでに旅支度を済ませていました。最初は反対していた玉玲瓏も仲間を守るため参加。一行は雨や険しい山道を越え、吐蕃への近道となる奪命谷へ入ります。
山賊に襲われ盛大郎が死亡
谷では山賊が一行を襲撃。玉玲瓏と季耀庭が捕らえられ、桑十四にも危険が迫ります。盛大郎は桑十四をかばって沼へ落ちて命を失いました。販路開拓の旅はいきなり仲間を失う事になってしまいます。
感想:かなり無茶な吐蕃行き
盛大郎が死んでしまいました。吐蕃は今のチベットですが。成都からでもかなりの距離があります。玉玲瓏が最初に反対した理由をもっと真剣に考えるべきだったのでは、と思ってしまいます。父親が実際に亡くなった場所なら、本人が危険だと言うのには十分な理由がありますよね。
しかも唐は民の出国に厳しいので国の許可が必要です。唐は外国に開放的なイメージがあるかも知れませんが安史の乱以降の唐は意外と閉鎖的。民が気軽に外国に行って交易するのはかなり難しいのです。国が認めた市場なら外国との交易はできますが、商人が直接国境を超えるのは無理。しかも四川方面から吐蕃に行くには山地があるので、道は険しいし山賊も出ます。
吐蕃に行かなくても唐なら他にも都市はあるのでは?と思ってしまいますね。
主な登場人物と結果
- 季英英:季家の娘・飛花会の中心人物
蜀錦の端切れを小物として売り、庶民にも客層を広げようとします。楊家の古い決まりにも異議を唱え、新制度を試すところまでこぎつけますが、売れ残った錦を抱えたことで吐蕃への販路開拓を決意します。 - 楊静瀾:楊家の三郎
白晟を調べ、南詔の白王であることを突き止めます。皇太子へ証拠を送りつつ白晟への警戒を続け、楊家では季英英に味方して古い決まりを変えるよう年長者を説得します。 - 白晟:南詔の白王
南詔の白王であることが楊静瀾の調査で判明します。季英英には異人街での商売を提案し、吐蕃へ向かう際には地図を用意して自ら同行します。 - 楊聚礼:楊家の叔父
庶民に蜀錦を持たせることに反対。季英英に協力した錦繍を罰します。さらに長安で商品が売れ残ると季英英の責任を追及しますが、楊静瀾から親族を甘やかしてきた楊家の決まりこそ問題だと反論されます。 - 牛五娘:牛家の五娘
趙修縁と組み、長安の貴人と踊り子に同じ楊家の錦を着せます。高級品としての印象を傷つけ、楊家の商品を大量に売れ残らせます。 - 趙修縁:牛五娘の夫、英英の元許婚
牛五娘の人脈を利用し、楊家の錦の評判を落とす策を実行します。 - 玉玲瓏:飛花会の仲間
父を奪命谷で亡くしているため吐蕃行きに反対しますが、仲間を守るため同行します。危惧していた奪命谷で山賊に襲われ、自身も捕らえられます。 - 盛大郎:飛花会の仲間
季英英の吐蕃行きに同行。奪命谷で山賊に襲われた際、桑十四をかばって沼へ落ち、命を失います。 - 桑十四:飛花会の仲間
吐蕃への旅に参加。奪命谷で山賊に襲われます。盛大郎に守られたことで助かりますが、その代わりに盛大郎を失います。
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