「血屠三千里」の黒幕が鎮北王だと判明。隠されていた楚州38万人虐殺の真実がついに都にも知れ渡りました。
鎮北王は慕南梔の霊蘊と大量の人命から得る気精を使って二品へ昇格しようとしていました。許七安は生き残った本物の鄭興懐から虐殺の記憶を見せられ、さらに偽りの楚州城が消えたことで、住民だけでなく兵士たちの記憶まで封じられていたことを知ります。
ところが鎮北王を倒し鄭興懐と許七安が断罪を求めても、元景帝は弟の鎮北王をかばい罪を認めないのでした。
鎮北王が勝手に大軍を使って38万人もの民を犠牲にしたのに、元景帝がまず気にするのが弟の死なのは皇帝としてそれでいいのでしょうか。
35~37話の内容
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慕南梔の霊蘊を狙う鎮北王の目的と、本物の鄭興懐が語る楚州虐殺の真相が明らかになります。
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偽りの楚州城が消え、38万人を犠牲にした鎮北王と許七安が戦い、許七安が鎮北王を斬ります。
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許七安と鄭興懐が都で鎮北王の断罪を求めますが、元景帝は弟の罪を認めようとしません。
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この記事にはネタバレがあります。
大奉打更人 35話 楚州の地の黒幕
慕南梔が狙われる理由が判明
西口郡の封鎖について証言が食い違うため、許七安は現地の人々の記憶に異常があるのではと疑います。宿へ戻る途中では慕南梔が困っている老人と子供に食べ物を与え、さらに持っていた金瓜子まで渡していました。
その後、許七安は魁族と鎮北王が慕南梔を狙う理由を調べました。慕南梔の体内には修行者の品級を高める助けになる「霊蘊」があり、これを奪われれば本人は命を失うことが分かりました。
鎮北王の関わり
さらに金蓮から巫神教には大量の人命から得た気精を利用して武夫を二品へ昇格させる秘術があると聞きます。三品の鎮北王が二品を目指していることから、許七安は「血屠三千里」と鎮北王が関係していると考えました。
本物の鄭興懐が生きていた
そのころ李妙真は「血屠三千里」が起きた場所を知る人物を発見します。許七安が会いに行くと、その人物から本物の楚州布政使・鄭興懐が生きていると知らされました。すでに南宮倩柔たちは楚州城で「鄭興懐」に会っているため、城内にいる人物は偽物だったことになります。
虐殺の記憶
李妙真は術を使い鄭興懐の記憶を許七安に見せました。そこには楚州の住民が兵に殺され、鄭興懐の息子も父をかばって命を落とす光景が再現され。許七安は楚州で大規模な虐殺が実際に起きていたことを知るのでした。
感想
どうやら鎮北王が二品に昇格するために起こしたらしいのです。
この世界では二品武夫になれば、一人で国境の軍事バランスを変えるほどの戦闘力をもちます。普通の軍では簡単に倒せず、朝廷にとっても非常に大きな存在になります。確かにその力が国の安全のためだけに使われるのなら良いでしょう。
でも逆にいうとそう簡単には止められなくなる。皇帝から見れば危険すぎるでしょう。鎮北王は朝廷の命令もなく兵を動かし、大勢の民を犠牲にして、自分をさらに強くしようとしていました。もし二品になったあと皇帝の命令に従わなくなったら、誰が止めるのでしょうか?
大奉打更人 36話 38万の怨魂
刑部尚書たちが偽りの楚州城に気づく
李妙真は許七安に、楚州兵の誰も「血屠三千里」を知らないようだったと報告します。一方、楚州城へ入った刑部尚書たちは、住民が同じ行動を8回も繰り返す異常に気づきました。やがて秘術によって作られていた町の様子が消え、虐殺が起きた楚州の実態が現れます。
許七安が魁族を利用して鎮北王を妨害
許七安は魁族も鎮北王の二品昇格を望んでいないと知り、情報を渡して楚州を襲わせます。鎮北王は慕南梔を失ったため、霊蘊なしで二品になる方法を探していました。そんな鎮北王に許七安が対峙し、38万人もの住民を犠牲にした罪を責めます。
楚州兵が虐殺の記憶を取り戻す
鎮北王は住民を虫けらのように扱いますが許七安はその考えを受け入れません。さらに鎮国剣も鎮北王ではなく許七安を選びました。
秘術が解けると楚州兵は、自分たちが住民を殺した記憶を取り戻して涙を流しました。許七安は兵たちの前で鎮北王の罪を明らかにして戦い。鎮北王を斬りました。しかし許七安は戦いで力を使い果たしその場に倒れるのでした。
感想
鎮北王が力のためなら民を犠牲にする人物なのは35話までで分かっていました。ただ38万人が犠牲になったと言われると、残酷さよりも規模の大きさが気になってしまいました。
いくらファンタジーの作り話とはいえ、銃火器も近代的な輸送手段もない世界で。神でも悪魔でもない、一地方の領主が38万人もの人間を痕跡を残さず殺害して隠蔽できるのでしょうか。必要な兵士の数や時間、遺体の処理まで考えると胡散臭く感じます。さらに町全体や兵士たちの記憶まで変えられるとなると「そこまでできるなら皇帝になったほうが早いのでは?」と思ってしまいます。
こうした巨大な数字は中国史にもよく登場します。たとえば秦の白起将軍の長平の戦いでは、趙兵40万人が殺され生き埋めになったとされます。でもそれが本当の数とかどうかは別でしょう。中国史の数字には事件の規模や悲惨さを強調するための誇張が含まれていることがよくあります。
『大奉打更人』の38万人も文学的な意味で鎮北王の非道さを強調したかったのでしょう。でも数字を大きくしすぎたせいで、怒りより先に「本当にそんなことが可能なのか?」と考えてしまいました。悪事は大きくすればするほど迫力が出るとは限りません。今回はむしろ話を盛りすぎてるんじゃないかなと思いました。
大奉打更人 37話 断罪要求
元景帝が鎮北王の罪を認めない
許七安たち調査団は鄭興懐と鎮北王の棺を伴って都へ戻ります。鄭興懐は元景帝に楚州38万人虐殺の真相を報告。高官たちも鎮北王を弾劾しますが、元景帝は弟が犯人だという訴えを受け入れません。
さらに鎮北王の死を知ると棺へ駆け寄って悲しみ、断罪を求める許七安や鄭興懐を退かせます。
許七安が魏淵の考えに納得できない
許七安は魏淵へ楚州で起きたことを報告します。魏淵は鎮北王をすぐに殺さず魁族との戦いに利用したあと処罰する方法もあったと説明しました。許七安は38万人を殺した鎮北王を国の都合で利用する考えには同意できません。
許新年たちが宮門前で断罪を求める
臨安は許七安の功績を広める文章を書かせました。臣下たちは皇宮の門前に集まり、元景帝との面会を要求。許新年も加わります。元景帝は王貞文との面会まで先延ばしにしますが、最後には「血屠三千里」を朝廷で議論することを決めました。
感想:皇帝も知っていた?
元景帝は単純に弟をかばってるだけ済まない気がしてきました。
鎮北王が二品になれば大奉にとってはかなり大きな戦力になります。魁族や巫神教との戦いまで考えれば、元景帝にも弟を二品へ上げたい理由は十分あったはずです。
原作では元景帝は鎮北王の計画はあるていど知ってたようなんですよね。だから鎮国剣も与えています。この計画をまったく知らなかったとは考えにくいんですよ。
もちろん38万人が犠牲になるとは思ってなかったでしょうけど。何の代償もなく二品になれると思っていたのでしょう。
むしろ、ある程度の犠牲が出ることは分かっていた。それでも鎮北王が二品になれば国のためになるから元景帝は計画を黙認した。
そうなると鎮北王の罪を認めるのは元景帝にとってかなり都合が悪いです。
弟が勝手にやったことなら無本人でもして切り捨てれば済みます。でも二品昇格の計画そのものを皇帝も認めていたなら話は別です。鎮北王を裁いた瞬間に「では皇帝はどこまで知っていたのか」という問題まで出てきます。
これは弟を守っているというより、自分まで疑われるから鎮北王の罪を認めたくないだけなのでは?
魏淵も、そのあたりはかなり分かっているような気がします。上層部ほどその危険性を察していて「下手に触れない方がいい案件」なんじゃないかと思います。
主な登場人物と結果
- 許七安:打更人の銅鑼。楚州事件を調べ、38万人を犠牲にした鎮北王を討ちます。都へ戻ったあとも処罰を求め、元景帝と対立します。
- 慕南梔:鎮北王妃。体内に品級を高める助けとなる「霊蘊」を持ち、それを狙う鎮北王と魁族から命を狙われていたことが分かります。
- 鎮北王:大奉の親王で元景帝の弟。二品へ昇るため楚州の民38万人を犠牲にし、許七安に討たれます。
- 鄭興懐:楚州布政使。本物は虐殺を生き延びており、許七安に楚州で起きた惨劇を伝えます。その後は都へ向かい、鎮北王の断罪を求めます。
- 李妙真:天宗の聖女。許七安とともに鄭興懐を探し出し、術を使って彼の記憶を許七安に見せます。
- 魏淵:打更人を率いる魏公。鎮北王をすぐ殺すのではなく、魁族との戦いに使ったあと処罰する方法もあったと許七安に話します。
- 元景帝:大奉の皇帝で鎮北王の兄。楚州38万人虐殺の報告を受けても弟の罪を認めず、鎮北王の死を悲しみます。
- 許新年:許七安の従弟で朝廷に仕える官吏。第37話では臣下たちと宮門前に集まり、楚州事件を朝廷で扱うよう求めます。
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